軍歴証明書
※日本における軍歴証明書は、主に太平洋戦争に従軍した陸軍・海軍の元将兵について記録した文書であり、主に恩給や保障を受ける際の証明などを目的として本人または3親等以内の親族に対して発行している-ウィキペディア引用
元来、太平洋戦争の戦史探究を残冬の主眼としているくせに、長年放りっぱなしのテーマがあった。私の祖父の軍籍についてである。誰しも家族や親戚に何となく伝え聞いた事があると思うが・・・。祖父は私が8歳の時に他界した。その後年、写真整理か何かで一度だけ、軍隊時代の写真を見た事があったが、当時はまったく関心がなく、はるか昔のお話としか感じていなかった。家族も「中国で負傷したとか何たら」位しか知らなかったようだ。
今夏、聖地帰道の際、祖母にふと尋ねてみたところ、「じいちゃんの写真とか何たらは捨てたかも」とびっくりな発言!!どうやら家を建て直した際に色々捨てたらしい。。。。
それでも自分の部屋をガサ入れしてくれて、数枚の軍隊時代の写真が押入れの奥地から数枚見つかった。陸軍所属で中国で負傷して、教官になって内地で終戦で、引き揚げ船が攻撃されて云々と大昔の記憶を大雑把に語る祖母。
当時の写真屋でも修正技術があり、皆晴れがましい時は、自分の写真を加工してもらったらしく、祖父の出征時の写真等も超カッコいい、まさにプロマイド写真である!!
しばらく見とれていると、軍服の襟元に26と数字がある事に気づいた。
この26をヒントに、北海道道庁(関東等は無論厚生労働省所管)充てに軍歴を紹介してもらえる事を知り、それも3親等内と聞き、おうこれはやべー時間が以外に無いと、手続きを開始したのであった。
11月、残冬ライフワークを駆使し、わずか80円(返送の切手代金)で発行された祖父の軍歴詳細(他府県等では有料の場合有)を孫として遺族として受け取った。
それを元に文献及び史実を可能な限り調べ、整合性を取り、軍歴で詳細不明な箇所の穴埋めをし、予めスキャンしておいた祖父の写真を盛込み、1冊の歴史本(従軍記録)が製本されここに完成した。
1ヶ月以上の時間を要したが、本として祖母が元気で居るうちに渡せて本当に良かった。
予算の都合で、字が小さいのが難点ではあるが、まあ祖母もとても喜んでくれた事が何よりだった。
祖父が仮に健在であれば御歳92歳にあって自分に何かを語ってくれていたやもしれないが、数枚の写真と軍歴の中で、十二分に孫に語りかけてくれたような気がしました。
歴史で見れば、日本史の教科書で最後の何ページかで終わってしまう、実にあっけない白黒写真のページも、その時代に生きた、個人それぞれに光りを当ててこそ、真実が見えてくるのである。19歳で志願兵として極寒の時期、陸軍第七師団歩兵第26連隊へ入隊し、29歳で終戦を迎えた祖父。激戦での奇跡に何度か救われたからこそ、父が生まれ、孫の自分がこうしていると思うと、何か感慨深いものである。そしてそのような幾多の奇跡はどこの家の身近な先祖様も体験なさっているのであります。 歴史は身近にあったのである。